
ホロスターズに激震!「企業Vtuber」の終わらない構造的問題と、業界が向かう"個人化"の波
2026年4月3日
2026年4月3日、カバー株式会社が静かに、しかしVtuber界隈にとっては爆弾級のお知らせを公開した。男性VtuberグループのホロスターズにおいてHYPHEN運営体制の変更を実施するというものだ。「体制変更」という言葉は柔らかいが、その中身は想像以上に重い。
📋 目次
何が起きたのか?終了・制限される活動内容
一言でまとめるとこうだ。「会社がホロスターズをグループとして支えるのをほぼやめる」。
具体的に終わるもの・制限されるものは以下のとおり:
- ライブ・イベントなど会社主導の企画
- 自社スタジオを使った配信(簡易3Dを含む)
- 誕生日・記念日グッズの新規販売
- ボイスの販売
- オリジナル楽曲の制作・リリース
「全体イベ、AGF、ライブ、おしゃフェス、スタこれや会社主導の企画、スタジオ利用(簡易3D含め)、誕生日周年グッズの販売、新規グッズ、ボイスの販売、オリ曲のリリースが無くなる 皆本当にごめん」
— 影山シエン(ホロスターズ3期生)X投稿より
タレントがファンに向かって謝罪する形でニュースが広まった——この構図だけでも、今回の発表の重さが伝わるはずだ。なおカバー側は「本決定はタレント起因のものではなく、事業全体の最適化を図るための経営上の判断」と強調している。
背景にある「男性Vtuberの収益化」の難しさ
背景には、長年指摘され続けてきた「男性Vtuberの収益化の難しさ」がある。
ホロスターズは女性VtuberグループのホロライブJと比較すると人気に大きく差が開いており、全体イベント等での取り組みも縮小傾向にあった。2019年の活動開始以来、1期生から3期生、UPROAR!!と段階的にデビューを重ね、現在は総勢12名のグループとして配信・イベント・コラボ・現地ライブなど幅広い展開を行ってきた。しかし7年間の努力をもってしても、ホロライブ女性陣との規模の差を埋めることはできなかった。
💡 ポイント:企業Vtuberにとって、スタジオ収録・グッズ生産・楽曲制作はどれも多額のコストがかかる。そのコストを回収できるだけの売上がなければ、いくら応援する気持ちがあっても、会社としての投資を継続することは難しい。
今回の判断は、そのシビアな事業判断の結果だ。
同時期に起きていた「もうひとつの動き」
実はこのニュースの約2週間前、ホロライブには真逆とも言える明るいニュースがあった。
星街すいせいが個人事務所「Studio STELLAR」を設立し、ソロアーティストとしての音楽活動・配信活動・グッズ販売・ファンクラブ運営を個人事務所に移行すると発表したのだ。ホロライブ所属VtuberとしてのコラボやグループIGXの活動は継続される。
⬆ トップタレントは…
企業の器を超えて個人事務所・独自レーベルへ(例:星街すいせい)
⬇ 収益の届かないグループは…
企業サポートを縮小し、個人活動へ(例:ホロスターズ)
方向は違えど、どちらも「グループ・企業主導から個人主軸へ」というベクトルを向いている。この2つのニュースを並べると、Vtuber業界が今まさに「個人化」という分岐点に差し掛かっていることが見えてくる。
VtuberとIPビジネスの構造的問題
今回の件は、同人ゲーム制作者や個人クリエイターにとっても人ごとではない。
企業Vtuberのビジネスモデルは、ある意味で「インディーゲームのパブリッシャー契約」に似ている。企業がインフラ・宣伝・グッズ制作を担う代わりに、タレント(=クリエイター)の活動を一括管理する構造だ。
⚠️ 今回の件が示すこと
「企業サポートには必ず採算ラインが存在する」という現実。どんなに愛されているコンテンツでも、ビジネスとして成立しなければサポートは続かない。
一方で、星街すいせいのような「個人事務所+既存事務所の並走」モデルは、カバー社がこの体制変更を「音楽活動の先鋭化とVtuberカルチャー拡大のための不可欠な選択」と位置づけて全面サポートを継続するという、新しい共存の形でもある。
今後の展望——「個人」の時代が本格化する
今回の体制変更は、チャンネルやIPの管理などの最低限の活動は維持されるが、それ以外の全てを畳むというプロダクション全体で見てもかつてない規模の事業縮小だ。
ただし、これはホロスターズの「終わり」ではない。今回の変更に伴い、所属タレント一人ひとりと今後の活動について、それぞれの意思を最大限に尊重しながら協議が進められている。
企業の庇護なしに個人の力で活動していくことは厳しいが、だからこそ、各タレントが「自分のコンテンツ力」をどこまで磨いてきたかが問われる局面でもある。
📌 クリエイターが今考えるべきこと
- 企業サポートに頼りきった活動モデルにはリスクがある
- 「個人のコンテンツ力」が最終的な生存ラインになる時代
- 企業と個人の「並走モデル」は新しい選択肢になりうる
VtuberもインディーゲームもYouTuberも、これからのクリエイターは「企業に依存しながら育て、いつかは自立する」か、「最初から個人の軸を持って戦う」かの二択を迫られる時代に入っている。
ホロスターズの12人が、この逆境でどんな個性を見せてくれるか——それが今一番の見どころだ。


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